2006年4月号



ニュースレター4月号(2006年)
NO-035 
2006年4月1日  


 


社法の改正を事業再構築に応用する
社法の改正により、12年ぶりに会社法と民法の勉強をして感じた事は、近年のビジネス状況やグローバルスタン
ダード経営における、法律や税務の改正が必要になって、日本も世界基準に合わせる必要があり、会社法や民法の改
正が行われたのだと思いますが、法律の改正をビジネスチャンスととらえ「事業再編や再構築」・「経営戦略」にも応用で
きると改めて痛感いたしました。経営者やビジネスリーダーの人は是非一読してお仕事に役立てていただきたいと思い
ますし、最低資本金制度も「1円から法人の設立」が出来るようになり、夢や目標のある人にとって起業もしやすくなりま
したので、是非自分の可能性を信じ、挑戦して成功してほしいと思います。近年はコンプライアンス(法令遵守)や企業
倫理・個人情報保護法など各種法律の規制が多くなり、企業運営で重要になっていますので経営者の方は、最新の注
意が必要になってきています。現実のビジネス界は正直ものが日の目をみない時代ですが、未来は明るい社会になっ
てもらいたいと痛感する今日です。いまだに利益や売上の確保が厳しい経営環境ですが、事業再編や再構築をして経
営戦略(詳細な計画)を立案して貴社の経営改善と問題解決をして収益を上げていきましょう。

社法改正で事業再編や再構築に応用できる点
金調達と社債の発行に関して
会社法第4編 社債  (676条〜742条) 
* 社債は会社が資金調達するために公衆から募集する方法で借入負債に対する債権で債権が発行される。社債の
本質は純粋な債権であり社債権者は会社の外部にある債権者であり、会社構成員である社員とは異なる。
会社法第4編 募集社債に関する事項の決定 (第676条) 
会社は、その発行する社債を引く受ける物の募集をしようとするときは、その都度、募集社債につて次に掲げる事項を
定めなければならない 
(1)募集社債の総額 
(2)各募集社債の総額
(3)募集社債の利率
(4)募集社債の償還の方法および期限
(5)利息支払いの方法および期限
(6)社債券を発行する時はその旨
(7)社債権者が第698条の規定による請求の全部又は一部をする事ができないこととするときは、その旨
(8)社債管理者が社債権者集会の決議によらずに第706条第1項第2号に掲げる行為をする事ができることとするとき
は、その旨
(9)各募集社債の払込金額、若しくはその最低金額又はこれらの算定方法
(10)募集社債と引換えにする金銭の払込の期日
(11)一定の日までに募集社債の総額について割当を受ける物を定めていない場合において、募集社債の全部を発行
しないこととするときは、その旨及び一定の日
(12)前各号に掲げるものの他、法務省令で定める事項

* 社債は会社が外部から資金調達する方法であり、会社は社債権者に対して利息を払い債権の償還の義務を負う。
* 株式発行は授受ではあるが、社債発行はいずれ返済する借金
* 改正会社法では有限会社も社債の発行ができるようになりました。合名会社と合資会社の社債発行規定はない。

会社法第5編 組織変更・合併・会社分割・株式交換および株式移転 (743条
〜816条)
* 会社の組織再編行為は、組織の変更(他の種類の会社に変わること)、合併(2社以上の会社が1つの会社になる
事)、会社分割(1つの会社を2たつ以上に分けること)、株式交換(買収して完全子会社にする場合)・株式移転(完全
親会社をつくりだす制度)があります。
* 合併:合併は会社の株主総会の決議が必要であり、合併契約において一定の事項を定めなければならない。
* 合併:吸収合併と新設合併がある。
* 会社分割: 会社の分割は、会社の営業または一部を他の会社に承継させる場合に活用され、吸収分割と新設分
割とがある。
* 会社分割と事業(営業)譲渡:会社は事業のある部分を独立させて新会社を設立することがき、新会社はその事業
を承継する。分割ではまず分割計画書を作成する、手続きの流れで、分割する会社と営業を承継する会社には、株式
買取請求権(保有する株式を公正価格で買い取るよう請求する権利)が行使させる。
* 親子会社:会社が相互に相手の株式を保有する場合がありますが、過半数の株式(51%)を保有する会社を親会
社、保有される会社を子会社という。子会社が親会社の株式を保有する事は禁止されている。
(改正会社法800条)子会社が他の株式会社の組織再編成行為により、親会社株式の割当をうける場合、親会社株式
の取得を認める。(改正会社法308条1項)外国法人にも適用される。
(改正会社法135条)親会社株式の取得の禁止
1項子会社はその親会社である株式会社の株式を取得してはならない。
2項前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
(1)他の会社(外国会社を含む)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受
ける場合。
(2)合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
(3)吸収合併により他の会社から親会社株式を継承する場合
(4)新設分割により他の会社から親会社株式を継承する場合
(5)前各号法務省令で定める場合
3項 子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない

*株式交換による完全親会社:株式交換は子会社となる株主の権利を親会社に移転させ、子会社の株主には親会社
の株式を割り当てる事。
*株式交換は合併と比べて費用が安く済むメリットがある。:株式交換は完全親会社設立や企業買収の場合に活用さ
れ、合併と比べて次のようなメリットがあるます。
(1)株式交換後も会社は別人格として存続する為、商号変更や不動産移転登記移転の必要がなく、コストが削減でき
る。
(2)従業員の解雇の必要がない。
(3)完全子会社となる株主に株式が交付される場合は、債権者保護手続きが不要になる。
会社法改正点
(799条1項3号・799条2項)株式交換には債権者保護手続きは不要ですが、新会社法では株式以外の財産(金銭)の
交付が認められていることから、債権者保護手続きを要する
(789条1項3号・810条1項3号)新株予約権付社債を承認する場合は、債権保護手続きが必要とする
(799条1項3号)完全親会社の債権者に対する債権者保護手続きも必要とする
(455条5項)株式交換の際の資本等の増加極度額は、現行法では完全子会社の純資産額が基準となる、改正会社法
では、完全親会社の取得株式の価格が基準となる予定。
(828条1項11・12号)株式会社の財産交付の場合に、異議を申し立てた債権者に株式交換無効の訴えができる。
(835条第1項)株式交換無効の訴えは、完全子会社となる会社の本店所在地を管轄する地方裁判所でもできる。
*株式移転による完全親会社 株式移転:子会社の株式を新たに新設する親会社に移転し、子会社の株主に親会社
の株式を割り当てる事。 株式移転では、株主総会の特別決議が必要。
*株式移転の活用メリット:株式移転は持株会社(完全子会社)の設立で活用され、新会社を設立して、株主はその会
社へ株式を移転し、新会社の株式の割当を受ける事。(株式交換に比べると会社を設立するという手続きが省略させ
る)

会社法第6編 外国会社(817条〜823条) 
第7編雑則 (824条〜959条)    
第8編罰則 (960条から979条)
* 新会社法は以上について規定を置いています。
 事業再編や再構築に応用できる改正点は上記の「4編の社債について」、「5編の組織変更・合併・会社分割・株式交
換および株式移転について」、「6編の外国会社につて」、などを勉強すれば時間の短縮になります。

業承継に関すること
新会社法は、日本の中小企業の大多数が同族会社で、中小企業の「事業承継」の視点からみた、新会社法活用のポイ
ントは以下の3点です。
(1)議決権制限株式の活用
従来は、発行済み株式の1/2までとされていた議決権制限株式の発行限度が撤廃され、経営に従事しない者が相続す
る株式の議決権制限株式とすることで、株主を分散して意思決定構造の集中を図る事が可能となる。
(2)相続による株式移転の制限
相続により取得した株式を取得者に対して、会社が当該株式を「売り渡すよう」請求できる旨を、定款で定める事が可能
となり、株式の分散を防ぐ効果がある。
(3)議決権について株主ごとの異なる取り扱い
株式譲渡制限会社においては、税負担を軽減するためにある程度分散を図りながら、経営面で言えば「安定株主の確
保が必要である場合」の「資本構成」の再編・構築を、新会社法で活用する事ができる。


一言要約
新会社法の活用で、中小企業が抱える、「会社設計:事業
再編や再構築」「事業承継」「資金調達」などの問題解決が
出来ます。




当社ではPPM分析・SWOT分析・ABC分析・ギャップ分析・ポジショニング分析やバランススコアカートによる、経営戦略
書を作成致します。分析結果により、貴社の「事業再編や再構築」への変革提案をし、戦略的に競争優位を作り出しま
す。
宜しくお願いいたします。



参考文献・自由国民社「会社法商法のしくみ」


がんばれ あなたならできます!みんなの知恵をかりて、努力さえすれば。    (ありがとうございまし
た。)
     

(有)パートナーシップ  取締役 橋本 吉之
                                                                
                                                                    
                                                    
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